忍の里 その2
夜遅く・・・元々静かな忍の里はかえって虫の声で騒がしい。
仁之助は突如仰せつかった表舞台での任務に当惑しながらも、そんな自分に誇りを感じていた。自分の今までの修業が認められ、実を結んだのだと思えた。しかし他の三人と顔を合わせるのはなんとなく気まずい。もう二、三日はまともに会話をすることはできないだろう。 そんなことを考えながら、寝床につかず、漆喰に塗り固められた四人の為の修業堂の周りをぐるぐると回っていた。

真名鶴「仁之助!!」

後からそう呼び止められ、仁之助は振り返った。正しく言えば飛んで体全体で振り返って身構えた。いきなり暗闇で声をかけられたのもそうだが、怒りに満ちたよく知った声だったからだ。

仁之助「ま・・真名鶴。」

仁之助は真名鶴の荒れ具合をよく知っていた。玄楼斎が一事を発表した時の真名鶴の鋭く尖った目はまだ頭から離れない。

仁之助「よ・・よお、真名鶴、まだ起きてたのか。」

真名鶴の気持ちは百も知っていたが、仁之助には白々しく切りだすのが精いっぱいだった。そんな弱腰な仁之助の態度には目もくれず、真名鶴は核心をついてくる。

真名鶴「自分の力量が高く評価されてさぞいい気分なんだろうね。ここでの修業にはお前が一番向いてないと思っていたんだけど、どうやら御爺様に取り入るのはお前が一番だったようだね。」

真名鶴の明らかな愚弄も、仁之助には言い返す資格がないように思えた。そのまま黙っていると真名鶴はその不満をぶちまけ続けた。

真名鶴「そもそも私はお前に技量で圧倒された覚えもない、むしろ逆だ。私の脳裏にはいつもお前が私の前に伏している絵しか浮かんでこない。」

仁之助は謙虚に構えたことを後悔した。真名鶴は自分の立身を嫉み、こじ開ける必要のない仁之助の恥を晒させている。

仁之助「お前がなんと言おうと御爺様がきめたことじゃないか、そもそもお前や涼香、くの一は床の場でその術を発揮する性技を操る忍ではないか。今回の御用はもっと荒っぽい匂いがする。お前らの術が必要とされてるわけではないんだよ!」

真名鶴の態度に少し怒りを覚えた仁之助は少々挑発気味に答えた。真名鶴はさらに憤りをあらわにした。

真名鶴「なにを!よくもそんな口をたたけたものだな!?」
そう怒鳴ると少し冷静な表情に戻り、笑みを含みつつ言い加えた。

真名鶴「くくく・・・本当によくもそんな口をたたけたものだな。私達が性術のみの使い手だって?とぼけるんじゃないよ、さっきも言ったろう。お前はさんざん私や涼香に剣術、闘技術でコテンパンにのされてきたじゃないか。」

真名鶴はもう一度静かに笑った。うしろで結わえられた長い黒髪が夜風に揺れた。

仁之助「コ・・コテンパンは言い過ぎだろ!そりゃ遅れを取ったこともあったさ!しかし俺は・・・」

女相手だ、手加減もするさ。と言い切りたかったがそうも言えない有り様だったことを思い出し口を濁した。

仁之助「とにかくそれでもお前が選ばれず、俺が選ばれたのにはどこかでお前の技量が足りなかったってことさ。自分の未熟を棚に上げて人を嫉むのもいい加減にしろよ。」

今度は痛いところをつかれたのも手伝って、かなり挑発気味に言い放った。ちょっと言い過ぎたと感じた仁之助はすぐに真名鶴に背を向けてその場を立ち去ろうとした。

ドン!

思いきり月夜に照らされた白い壁にたたきつけられた、と同時に胸ぐらを捕まれ仁之助のつま先は宙を泳いだ。

真名鶴「私の技量が足りないって?呆れるほどのへらず口の達人よ。なんならお前の体にもう一度いやと言うほど覚え込ませてやろうか!?」

「よせ!」仁之助の抵抗する声が出る前に、腹にコブシの一撃を受けた。

ドスン!「ぐふ!」

闘技で真名鶴に及ばない様がすぐに露呈されてしまった。胸ぐらを離された仁之助は着地と同時に真名鶴の肩に手をかけ、倒れまいとするも一撃で体の自由を失ったせいで真名鶴の大きくふくよかな胸に顔が埋まった。下忍とはいえ、女性である真名鶴は身だしなみには気を抜かず、清潔を保たれたその衣からは常にツツジから抽出した香料の香りが漂っていた。仁之助の顔には衣の襟から窮屈そうに露呈した真名鶴の胸の肌の感触が伝わった。
すでに困狽している仁之助の様子に、なおさら真名鶴の今回の人選に対する怒りは高まった。

真名鶴「どうだい!御爺様にもこのザマをよくよく見てもらいたいものだ!そうだろ仁之助?こんな無様なお前がどうして私を差し置いてお上の務めを果たすというんだ!!」

自分の言葉に憤怒の炎をさらに焚き付けられた真名鶴は自分の胸に沈んでいる仁之助の頭をそのまま壁に押し付けた。ともすればとろけそうに柔らかな胸の感触が仁之助の顔を覆い、真名鶴の腰の力が加わって仁之助の頭蓋を危険なまでに圧迫した。

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