僕が目を覚ました時、そこは案の定というべきか、雪江の部屋だった。ただし雪江の姿が見えない。
「おーい!さっさとこの手錠を離せ!!」
と叫ぼうとしたところ。
「むーむむむむ!!」
口をがっちりとテープで巻かれている。どおりで少し苦しいわけだ。
「・・・・・・・」
立ち上がろうと思ったが、腰もベルトでバカでかいベッドの足にくくりつけられている。
まいった、これでは何もできない。僕はただ事態が進展するのを待つしか無かった。
がちゃり。
木製のドアが開いた。外からは大きなスピーカーを抱えた雪江が入ってきた。
「・・・・?」
慣れない手付きで、色々と配線を繋ぎあわせる雪江の後ろ姿。僕はぼんやりとそれを眺めていた。
すると・・・
「ジャーンジャンジャーン・・・・
大音量でワルキューレが流れ出す。
「うわ!」
「キャ!」
プチッ
自分で驚いた雪江はすぐに電源を切った。
・・・・・なにやってんだ?この娘はほんとにイカレてるのかもしれないぞ。
僕の頭の声が聞こえたのか、雪江が薄らと笑みを含めてこちらを向いた。
「目がさめた?ごめんね、乱暴なことしちゃって。」
自分のしていることの異常性を随分と軽く見ているようだ。
「もがもが!」
「え?ああ、大丈夫、心配しないで。御飯の時はちゃんとはがしてあげるから。」
(なにが大丈夫だ、やはり的外れな感覚・・・・・・何?)
僕は雪江がこれから僕をどうする気なのか察した。
(ま・・・まさか、このイカレ娘。俺をここにこれからも閉じ込める気なのか!!??)
僕の不安などおかまいなしに、雪江は午後の明かりを部屋に迎え入れるために、大きな窓を両手で開いた。
外からは暖かで、庭の草木の香りを詰めた風が雪江を通り過ぎて部屋に舞った。
「ああ・・・気持ちいい」
青い空に向かって、独り言のように雪江は言った。
「・・・私、武史が来てから何か変わった気がするの。武史と会ってから、うん。何かかわった。
雪江は自分の気持ちに聞くようにゆっくりとはなした。
「自分を鏡で見ているうちにね、自然と笑顔がこぼれてくるの。ああ、私って笑うと意外とかわいいのかなって、自分で思ちゃったよ。」
いたづらっぽく照れて笑った。
「・・・少し厳しかったな・・・武史に避けられてたのは・・・・・」
横顔しかみえなかったが、髪が風にどかされて雪江の寂しそうな表情が見えた。
「でも、もう大丈夫。武史の顔見たらまた元気がでてきたよ!」
再び外の太陽にも負けない笑顔を見せた。
そういえば、雪江は初めて会った時に比べて随分笑うようになった。僕と会うことで、本当の女の子らしさをとりもどしたのだろうか。生きるエネルギーみたいなものを感じるようになった。
「もがもが・・・」
「あ、ごめんごめん。」
雪江が駆け寄ってきて、口のテープを剥がした。いたかった。
「ごめんね、私ったらぼーっとしちゃった。 ちゃんと御飯もあげますからね♪」
「いや、そういうことじゃ・・・・ぶ」
雪江は台所からガメテきたのだろうか、食パンを僕の口にいきなり詰め込んできた。
「もがもが・・もふぁふぁ!」
これが雪江の愛情表現なのだろうか?。だとしたらその歪み振りはハンパじゃない。命の危険はまだ無いが、このままいるのはよくない、なんとかしなければ!
しかし手と腰を縛られ、声も出すことができない僕にできることはなかった。
僕は雪江のちょうどいいおままごとの相手のようだ、いろいろとお世話の真似事をされる。
そして昼も夜も構わずに、雪江の探究心のいい材料にもされる。
「む・・・むぐ・・・!!」
「武史・・・気持ちいい?」
僕は相変わらずベッドの脇に縛りつけられたまま、雪江の拷問に近い愛撫を受け続けていた。
僕はベッドに座った彼女の両太ももに後ろから頭を挟みこまれ、その長い足で露出している僕の物を撫で回される。頬に強力に雪江の太ももを感じながら、声にならない悲鳴を繰り返し、いつしか彼女の強引に擦りあわせる足によって絶頂を迎える。
「かわいい武史。こんなに出して・・・
ビクンビクンと液を出し続ける男性器を、暖かくて意外に柔らかい足の裏が包み込んでいた。
(今日で三日がたつな・・・・お母さんや兄弟はきっと心配してるだろうな・・・)
夜中に雪江の、まるで子供のような寝顔を見ながら考えた。
(僕はいつまでここにいるのだろう?)
(まさか、死ぬまでここに繋がれることはないだろうな?)
(い・・・いや、この娘ならありうる!?)
ちょっとした絶望感が僕を包み、月のない暗闇のなかで、身体を丸くして必死で眠ろうとした。
グイッ
「ごめんね、私、また目が覚めちゃった・・・
雪江は眠りが浅い。ちょっとした物音で起きてしまう
雪江は僕の片足を引っ張り上げ、布団の中に引きずり込んでいる。
「むーーーーーーーー!」
「どうして? いつもみたいにいいことしてあげるよ?」
毎晩、僕の意志とは無関係に気まぐれで身体を弄ばれる。僕の下半身は雪江の体温であたたまった布団の中に引き摺り込まれた。
外はでは雨が降り始め、雪江のだ液が弾ける音と、僕の絶叫をかき消した。
コンコン!コンコン!
だが、こんな無茶なことがいつまでも続くわけがない。