「兄貴うぜえ」って妹が。 その1
高校生になったからといって、とくに部活にせいをだそうとも、個性を高めるために趣味に勤しもうとも思わなかった、適当に親を安心させ、それでいて妙な期待も持たせなければそれでいい。ただただ静かに毎日を送れれば・・・・。僕の高校生活の始まりはそんな気持ちだった。

世の中に背を向け始めた僕とは打って変わって、小学六年生になった妹は非常に社交的になっていった。
小学生の低学年の時から親に持たされていた携帯電話は、妹が家にいる間は鳴りっぱなし、そしてその用事に妹は振り回されっぱなしという具合だった。そしてやけにいつもそれが楽しそうにみえた。
今も階段から降りてきた妹が、長い艶やか黒髪をせわしなく後ろで左と右にわけて結んでいる。どこかにでかけるのだろうか、少し蛍光色の強い水色の太ももまでのズボンをはいて、上はお気に入りのパンダのTシャツだ。上と下の着物のギャップがひどい。
僕の横を通り過ぎる妹を横目で追いながら学校の先生の言葉を思い出した。

「最近はハンバーガー等に含まれている成長ホルモンの影響で低年齢にかかわらず、体だけは大人並に成長する子供が増えている。」
確か5年生の終わりの時に168cmを越えたって言ってたっけ・・・。

「またエリカちゃんはどっかでかけたの? どこ行くって?」
母親が別な部屋から訊いた。
「知らねーよ!あいつがいると落ちつかないんだ、静かでいいよ!」
妹がだらしなく開けっ放しにしたリビングのドアを乱暴に閉めながら僕は答えた。

しょっちゅう誰かと話している声も耳障り、派手な服装も目障り、最近つけだした安物の香水の匂いは鼻障りだ。落ち着いて物を考えたい植物のような僕にとって、あいつは今や天敵意外のなにものでもない。
いや、それより何より正直に言えば、さっき妹を横目に見たと言ったが、やや見上げた・・・・。いや、本当は確実に見上げていた。 そんな現実に、最近の僕の自尊心はミシミシとひび割れが起きていた。
このところ特にそれを認めざる得ない状況になっている。僕の成長はほぼ止まってしまったが、妹は今も伸び続けているのだ。
「妹より小さい兄か・・・」
自分のプライドを確かめるように一言呟いてみた。我ながら鋭く、哀れな小男の心をえぐった。


次の日、情緒不安定な僕は妹に喧嘩を売ってしまった。僕より明らかに妹は大きかったが、「女なんかに・・」という男の子のプライドが現実を曇らせた。
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